ミゼットⅡ諸元

ミゼットⅡ諸元

遂にミゼットⅡを買ってしまいました。私の個体のスペックは以下の通りです。

型式 V-K100P
販売年 1996年
メーカー ダイハツ工業
グレード B(最廉価)
車両区分 自家用小型貨物(軽ピックアップトラック)
フレーム構造 ラダー
全長 2790 mm
全幅 1290 mm
全高 1650 mm
車重 550 kg
乗車定員 1名
荷台サイズ length:1145 mm x width 1205 mm
最大積載量 150 kg
走行距離 66000 km
修復歴 不明
エンジン EF-CK SOHC 660 cc 直列3気筒
燃料供給方式 キャブレター(チョーク装置なし)
燃料区分 レギュラーガソリン
過給機 なし(NA)
冷却方式 水冷
配置 セミキャブオーバー
最大出力 31 hp
最大トルク 5.1 kgm
触媒 なし
燃費 10・15モード値 15.8 km/L
トランスミッション 4速フロアMT
フロント制動装置 ドラムブレーキ(倍力装置なし)
リア制動装置 ドラムブレーキ(倍力装置なし)
フロントサスペンション ストラット
リアサスペンション 車軸式リーフスプリング
キーレスエントリー なし
電動格納ミラー なし
パワーステアリング なし
パワーウインドウ なし(左側窓は開閉装置すらなし)
エアコン なし(ヒーターと送風はあり)
エアバッグ なし
ABS なし
テレスコピック なし
シート調整 前後のみ10 cm程度
カーナビ なし
ETC装置 なし
オーディオ なし
ラジオ なし
シガーソケット あり
水温系 なし
タコメータ なし
室内灯 なし
グローブボックス なし

書き出してみるととんでもねえ車ですな。NAエンジンのFR、MTで快適装備一切なしでしかもひとり乗りといえばもはやF1マシンかミゼットⅡしかあるまい。後はパドルシフトでもつけてハイオク入れときゃ完璧。ともかく順に見ていきます。

ミゼットⅡは5年間販売されましたが、私の個体は初年度の最廉価版、つまり最も装備が貧弱なタイプ。当時の基準で考えても基本設計がかなり古いけれど、これはそもそも設計が古かった当時のハイゼットトラックの構造やパーツをほぼそのまま流用したという理由によります。ダイハツ自身も数が売れるとは思っていなかったので専用の手作業ラインで細々と少数製造してましたが(このラインでは後にコペンが作られます)、そうするとコストがかかりすぎるのでパーツを流用しまくって値段を下げていたというわけです。ちなみに前期型でもBタイプ以外はさすがにエアコン付きです。

後期型になるとバンが出たり、ATになってなんと2人乗り(実質1.5人乗りだけど)になったり、内装が無駄に豪華な限定版が出たりもしてますが、実はそれ以外にも車格が変更になっていたりFIの採用や触媒の採用などかなり現代化が進んでいます(ちょうど排ガス規制が厳しくなった時期でもある)。

特徴としては、まずとにかく小さいですが、このサイズは当時の軽自動車規格と比較しても相当な小ささです。というか初代ミゼット(オート三輪)とほぼ同じです。2022年現在の軽自動車の車幅限界が1500 mmですがそれより200 mmも狭いです。しかし武骨なラダーフレームにちゃんと短いプロペラシャフトとデフを介したFRレイアウトになっており、古き良き伝統的な車の構造を保っています。NAでパワステもないということもあって、運転間隔はかなりダイレクト(ちなみにパワステの必要性は全然感じないくらい軽い)。エンジンも座席の真下にあるし、小排気量なので回転数でパワーを稼がざるを得ないからブンブン回って楽しい。「公道が常に全開走行のサーキット状態」と称した人がいましたが、まさにその通りです。

というわけで機構としてはめちゃくちゃ楽しいのですが、当然ながら普段使いするには不便の塊でもあります。

まず軽トラにしては荷台が異常に狭い。最大積載量150 kgっていくらなんでも狭すぎです。しかもアオリがめちゃくちゃ低くて頼りない。自分で改造していい感じの幌をつけないと到底実用性はありません。

エンジンもどう考えてもパワー不足。車重は軽いけどラダーフレームと固いサスとしょぼすぎるタイヤでねじれ耐性がないし、実は燃費も決して良くない。なによりキャブレターはつらいものがあります。バイクのようなチョークもないので自分で燃調もいじれない。触媒もないので排気ガスの匂いも結構体に悪そうな感じです。

前述したとおり後期型はATもあるのですが、個人的にMTを練習したいというのも買う目的のひとつなのでこちらを選択。なのでこれに関しては不便といえば不便ですが、それが楽しいところでもあります。ちなみにハイゼットの5速ミッションに簡単に交換できるので、買ってみたら実は改造されてて5速だったということもあるそうですが、残念ながら私の個体は純正4速でした。

しかしタイヤはどう考えても小さすぎ。12か13インチくらいだと普通にハウスに収まる組み合わせがあるらしいのでかなりのオーナーが入れ替えているそうです。 サスは特に後ろのリーフがいかにもトラックらしいバッコンバッコンな跳ね具合を演出してくれます。楽器を積むつもりなので荷台も少しいい感じに改造する必要がありますね。まあ荷物積めば跳ねも収まるという話ですが…

あとは各種便利装備。見ての通りほとんど何もありません。便利装備どころか安全装備もほとんどついてない。強いて言えばシートベルトとヘッドライトとワイパーはついているといったところ。つまり法規ギリギリです。ルームミラーも幌をつければ役に立たないし、サイドミラーもバイク用かと見紛うほどの小ささです。あと多分オリジナルにはラジオ付きのカセットデッキとシガーが付いていたはずで、その痕跡はあるが配線が取り払われています(おそらく社外オーディオをつけていて、車を売る際にこれを取り外したのだと思われます)。

なによりエアコンがないのがつらい。単に夏場が暑いだけではなくデフロスター効果がほぼないので雨の日に曇りが取れない可能性が高いです。仕方ないのでこれは定期的に曇り止めを塗るしかなさそうですね、恐ろしい。旧車乗りはこの恐怖と常に戦っているのか… そして暑さもバカにできません。なぜか左の窓がはめ殺しになっているので右の窓を開けるしかないのですが、片側だけでは循環効率が悪く、狭すぎる車内は地獄状態になること請け合いです。しかもエンジンが椅子の真下にあるから下からも熱が来ます。比較的オーバーヒートもしやすい車のようですが、エンジンが逝くかドライバーが逝くかの根競べになりそう。やはり近距離しか乗ってはいけないやつですね。幸い小さめの車載扇風機を持っているのでこいつに保冷材でもつけて頑張らせるしかない。それでも30分以上は乗りたくないなあ。