NDロードスター 試乗記録

ついにMR-S最大のライバル?に試乗。といってもこちらは2代後のNDなのでだいぶ進化している。世界で売れ続ける車がどんなもんかというところだが、やっぱり只者ではなかった。

良かったところ

• シフトのストロークが短くかつ簡単に入る。各変速位置がすべて非常にわかり易い。めちゃ軽いのにタイト感もあり。
• クラッチペダルの踏みしろが短めで、グッと重くなるところがない。
• 変速ショックが出るときもわかりやすいが、程よく穏やかで適度なインフォメーション。
• 発進でエンストしない。操作しやすいというのもあるが、多分コンピュータでちょっと補助して落ちないようにしてる。これはホントありがたい。
• 信号待ちから2速に入れるまでのあの面倒くささが一切感じられない。
• シートポジションがあまりにも最高すぎる。シートが良いだけでなく、手足や頭の位置関係もここがちょっと…みたいなところがマジで一切ない。
• 特にクラッチペダルとアクセルの位置関係がとてもよい。他の車だとクラッチに合わせてアクセルが近くなり、足首を少しひねりがちだがそれがない。
• というかアクセルペダルがフロア固定のオルガン式なのがものすごく功を奏している。前述の位置関係のみでなく踏み心地も非常にわかりやすく、またフルに踏み抜くのも簡単。
• 他のスポーツカーに比べてステアリングが大きめで、そして体に近い。これが非常に運転のしやすさに貢献している。
• シート形状自体も素晴らしく、何も考えずに乗っていても全身の姿勢が崩れることがなく、自然と体に負荷のないポジションになってくれる。何時間でも乗れそう。
• ブレーキも癖がなく、グッと止まる。
• コーナリングの安定感すごい。アンダーもオーバーもなく踏んでも抜いても好きなように曲がれる。
• フロントの接地感は常に高く、グッと根を張っている感じがある。このあたりはいかにもFRっぽい。
• 幌の開閉が信じられないくらい簡単。練習したら1秒切る。停車中のみでなく慣れたら運転中でもできそう（それはやめよう）。ウインドウが連動してくれるのもすばらしい。
• 押し込んでRに入るシフト操作もよし。S2000より入りやすく、駐車も簡単。
• スマートキー楽。
• 意外と視界が広い。
• ボンネット形状が最高で、これが常に見えているのがたまらんぜ。
• まさかのマニュアルエアコン。多分オプションでオートにできると思うけど個人的にはこれ好きよ。

車種固有の問題

• 乗り降りはちょっと難しい。結構車高低い。
• 始動時の排気音がデカい。
• エンジンスタートボタンがちょっと押しにくい位置にある。右手側のほうがいいとおもうんだけどな。
• 始動すると勝手にヘッドライトがつくのに最初戸惑う。設定変更できるのかもしれないけど。
• ドアが長いので降りるときは隣にぶつけないようにちょっと気を遣う。
• ウインカーレバーの動作がちょっと安い。遊びがありすぎる。最近流行りの二段式なので慣れればいいのかもしれないが個人的には微妙。あとレバー自体が太すぎるかも。
• ステアリングはもうちょい太いほうがいいな。革の質感はとてもよい。
• S2000もそうだが、ドライブトレーンの位置の都合でやっぱりちょっとだけペダル類が右寄り。
• 1.5LのNAなのでやっぱり最終的なパワーはない。100㌔以下のレンジにベストなチューニングを絞っている感じ。
• これは意外だったが静粛性が非常に高く、エンジン音すらトヨタ車並みに聞こえない。ホンダのようにわかりやすいスポーツ感というよりやっぱり日常使いに重きを置かれている感じがある。2人で乗るのを強く想定されている車。
• USB端子、AUXの位置がよくない。何か差すとシフトレバーの邪魔をしてしまう。もっと上の方か、助手席側足元あたりから出すべき。
• わずか3㌢程度の幅の差で3ナンバーになってしまうのがちょっと残念。あとハイオク。
• トータルのデザインは悪くないと思うが、個人的にタイムレスではないと思う。時代の流行りを感じる。NAとかNBのほうがこの辺は優れている。

個体固有の問題

• まあ特になし。細かい電子機器類の設定をいじりたいところはあるかな。

その他

• 純正ETC車載器が助手席背面というとんでもない位置にある。多分オープンで駐車しているときにいたずらで抜かれないためだろう。運転中は絶対挿せないので、忘れてインターに入ると悲劇だけど、挿しっぱなしにできるからこれでいいのかな。
• 車の特性から言うとタコメーターより速度計が真ん中にある方が良いのかも。競技するスポーツカーという感じはあまりない。

すべてにおいてしなやか。長年この車を作り続けてきただけのことはある。とにかくあまりにも完成されきっている。いろいろ書いたけど車としての機能に対する文句はほぼゼロに近い。S2000と違ってギリギリ公道で性能を使い切れる良さがある。

特に動作系パーツの連動が非常によく、適切なインフォメーションを与えてくれながらゴツゴツしたり重すぎたりというところが一切なく、と言って柔らかすぎるところもない。あらゆる部分のパラメータ調整がうまくできていてフラット。MTに乗っているという緊張感が全く無く、文字通り手足のように使える。車そのものにあまりに一体感があるのでパーツそれぞれについての評価、というか文句が出てこない。ホント素晴らしい車。これだけ走りにこだわっておきながら十分なトランクルームもあるし、日常使いできるMTの究極形って感じ。こりゃあ売れるに決まってる。

この完成度の製品を出せる会社が日本にあることに感動ですわ。いやぁでもあまりにメジャーだから買うかというとちょっとなあ…意外と諸々お金かかるし…